掃除のおじさんーセンサーを持つ者ー
以前、工場勤務の時のにシルバー人材からきていたおじさんがいた
当時はシルバー人材から掃除でおばさん二人とおじさん一人がいた
おじさんは見るからにおじさんで
作業着の着方もだらしがなくていわゆる汚らしくて
そして不器用な人だった
おばさん二人は主に工場内の清掃でおじさんは工場の外の草刈りや掃除だった
とにかくセンスがない
一生懸命草を刈っても、その泥だらけの格好で工場内に草をまきちらしながら
入ってしまうような人だから
気に障る人には気に障ると思う
私は総務だからいわゆるシルバーさんは私と私の直属の上司の管轄だ
最初はまだ直属の上司もいて二人でシルバーさんを担当していた
世の中には異端者を見つけるセンサーを持つ人がいて
自分の持つ常識とは異なる人を見つけて攻撃をする
これって生存本能なのかな
自分たちが生き延びていくためには集団行動を乱すものは許されないという
おじさんはそのセンサーに見事にひっかかった
そして私も直属の上司も、センサーにひっかかっていた
センサーにひっかかった者は攻撃される
センサーを持つ者は容赦がない
異端者に対して、「間違っている」という言葉を繰り返し
相手に対しての寛容さはない
そしてセンサーを持つものは攻撃相手への権力者だったりする
私と直属の上司は、だらしがなくてセンスのないおじさんを
でも悪い人ではないと思いながら、根気よく注意して仕事を続けてもらっていた
そしてそんな異端者はもちろん、同僚にもやられる
同じシルバーの女性たちにもよく狙われた
いい歳をしたおじさんがおばさんに大きい声で注意されたり
したらしい
女難の相だ
しまいには仲の良いはずだった方のおばさんも怒らせて
(おじさんはなんで怒ってるか心当たりがない)
二人のおばさんに気を使いながら
それでも広い工場の中を、汗だくになりながら一人で草刈りをしてくれていた
やれ泥のついた靴で工場内に入るなとか
作業着が汚れないようにズボンに除草用のつなぎを上に着ようとか
女性のシルバーさんに怒られないように気を付けようとか
そんなことを一緒に考えながら
センサーを持つ者の攻撃をかわすため
よく二人で声を掛け合った
終わりの方は一区画一区画ごと草がなくなることにやりがいを感じ
計画的に工場内の除草をするまでになってくれていた
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