月
お酒を飲んでしまうと
働かなくなってしまう
お給料が出るとお酒に代わってしまう
そんな昔ながらの親父だったから
お金はいつもなかったんだと思う
お酒を飲むとお金を持っていても
持っていなくても(昔は商店でツケで買い物した)
一人でお酒を買いに行かされた
家の中の小銭をかき集めて、「これしかない」といって
買い物に行ったり
お金は後払いでと言って買い物にいかされた
子供心にもそんなことをするのはすごくいやだった
子供には何もできないだろうと考えて
わざわざ子供に買いに行かせてたんだと思う
ほんとにダメな奴だった
子供にそんなこと言われたお店の人も困った顔をしていたと思う
よく夜にも買い物に行かされた
昔だったから住宅街で人もいなくて
コンビニなんかなかったから
自転車で誰もいない道を一人でお店に行きながら
光輝く月だけが私についてきてくれていた
どこにいても月が私についてきてくれていた
誰も頼る人もなく
帰れば、神経質な怒りっぽい父親か
酔って暴れる父親しかいない家
私には月だけが夜道に寄り添ってくれる相棒だった
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