ゴジラ対ガメラ
事務所には、おかっぱ頭の施設長とやはり最近入社したばかりのおじさんと、
私の前任者にあたる経理の先輩の三人がいた
この三人は偶然にも同じ歳らしかった
おじさんは前職がかつては一世を風靡するほどの会社だったけど
元々浮き沈みの激しい業界で生き残れず倒産したらしかった
失業保険を使い果たしてギリギリなんとかこのホームに潜り込んだそうだ
そんな感じだったから、どこか飄々として世捨て人よろしく我関せずなところがあった
理事長を師匠と仰ぐ施設長待遇の上司と経理担当の先輩はやはり同性だからか
何かと衝突することが多かった
お互いのこれまで培ってきた経験とプライドが物を言うのか
ゴングが鳴るとなかなか収まることがなかった
それを飄々としたおじさんと入ったばかりの私は首をすくめて嵐が過ぎるのを待つっていう形
おかっぱ頭の施設長は本当にいるだけで、騒々しい人だった
声が大きいだけではなく、歩くだけでも騒々しい
基本的に動きが雑なのかその人が通るだけでガシャン、バタンと音がする
嘘みたいな話だけど本当の話
私もそんな人初めてみた
その人がいない日は本当に静かになる
もう一人は私の先輩にあたる経理のプロ
税理士事務所からきたっていうから、そういう意味ではこちらもある意味
その道のプロ
譲れないところは譲れない
小柄で優しくて私にも丁寧に教えてくれたけど
納得がいかないところはたとえ相手が施設長だろうと
数字のプロとして言うことははっきり言っていた
理事長の弟子のプライドと数字のプロのプライドが
小さな事務所でぶつかり合う
大きな火花にはならないけれど
それでも私は引継ぎのたった数か月で
思っていた
またはじまった
ゴジラ対ガメラ
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