爪とワイシャツ

何件目かの面接で、建物がきれいで働きたいなと思った

会社があった

 

最寄りの駅は地元とは違う大きな駅

駅からは遠かった

しかもスマホで地図に案内されていった場所に会社はなくて

慌てて電話して場所を教わって辿り着いた

 

そもそもこの会社は先に送った履歴書も届いてないとか

言われた会社だった

わざわざ届いてないって連絡くれて

そんなはずはないって会話をしたんだった

わざわざ郵便局にも連絡してくれてた

そういった対応に親切な会社だな、と思った

結局履歴書は届いてて、面接してくれた年配の方の人が

握りしめてたみたいだった

 

就職活動だけでなく、そういったなんだか物事が

うまくいかないときは、その事象はやめといた方がいいって

判断の材料にすることが多い

 

そういうわけだからその会社はもちろん断られたよ

 

まだリフォームしたばかりだったのか

その地区特有の自動車の通行が激しいわけでもないのに

広くて整理された道路に面した5階建てのビル

そんなに広くないオフィスはとてもきれいだった

あぁ、こんな会社で働きたいな、と思ったんだった

 

面接してくれたのはさっきの郵便を貯めてた年配の人と

私よりいくらか若いのかなという男の人だった

てっきり年配の人が偉いのかと思ったら

若い方の人が会社を継いでいるみたいだった

たぶん二代目で、年配者は先代と会社を育ててきた人なんだと思う

どうしても年配者がつい偉そうにしてしまうのを

若い人に気を遣って慌てて自分を制すみたいな様子が感じられた

 

そういった二人の関係も影響しているんじゃないかと思うが

私よりいくらか若いその人は

私に対して挑戦的だった

会ったばかりの私になぜ、自分のすごさを見せつけなくてはいけないのかが

理解できなかったけど

この人の挑戦的な態度は部下になっても大変そうだなとは感じた

 

私の年齢が悪いのか

世の男の人はなぜか私に挑戦的だ

若いころはこんなことなかったよなと思う

やはり私自身も若いころのように「はい、はい」と素直に返事ができなくなって

いるからか

確かに何か指示して「ああだ こうだ」を言われるおばさんより素直に「はい」という

若い子の方がいいのはわかる

私が長年勤めた会社も結局、上司二人にさんざやられた

口ごたえするおばさんはそんなにゆるせないものなんだろうか

それか、それほど私は生意気(果たして50過ぎてこう表現するだろうか)に見えるのだろうか

まったくおばさんは生きづらいと思っている

 

年配のおじさんはニコニコしてたけど

若い方の人がだめそうだな、と思った

なんだか挑戦的なその男の人は爪がやけにきれいできちんと手入れされていた

その反面、腕まくりをしていたブルーのワイシャツがしわだらけで

残念な感じがしたのを覚えている

日常

Posted by ぷー子