手負いの50代
長かった試用期間を終える頃
もう一度、自分の得意分野で挑戦したいという気持ちを
抑えきれず
私は、求職活動をしていた
長く務めた会社で最後まで自分の場所を見つけることができず、
飛び込んだ介護の世界でも居場所が見つかりそうもなくて
ますます私は自尊心をボロボロにしていた
最初はトイレで出会う介護職とは違う事務服をきて
まったく異なる休憩時間で働く女性を見ても
昔は私もそうだったと思うだけだった
以前の職場は製造業で事務職の私は
作業着を着た現場の女性の中にいると居心地が悪かったのを思い出した
その時は、もうそこには戻らないと思っていた
でも書類を事務所に提出しに行ったとき
以前はあそこに私も座っていたと思うようになった
土日出勤の時の電気の消えた事務所を見て、
以前なら私も出勤していなかったと思うようになった
よくある話なんだろうと思う
こんな歳になって新しい世界に飛び込んでうまくいかなくて
やはり自分の世界がいいと思ってしまうのは・・・
ここは私の世界じゃない、なんてことは思っていなかった
ただ必死だった
せめて自分の今までの経験が生かせるところならばもうちょっと
やっていけるんじゃないかと、藁にもすがる思いだった
365日のシフト、一番下から二番目の自分の日付に×をつけて
ようやく三ヶ月が過ぎようとしていた時
求人の応募をした会社で事務の職種で採用が決まった
ずっと怖くていたたまれなかった気持ちの出口が見つかってしまった
残念なことに、少し作業ができるようになったことも、先輩が励ましてくれたことも
利用者さんの言葉も、私を引き留める効果はなかった
いつもならこういう時、いろいろ考えて躊躇する自分が、
一度やったなら二度目も同じというのか
前職とは比べものにならない早さで
退職する旨を主任に伝えていた
そしてこれまた前職と同じく、私は、ほとんど即日で、デイサービスを逃げ出すことになる・・・
またもや大人としてはあるまじき状態で
手負いの50代
放浪の旅はつづく・・・
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