おいおい大丈夫か
ファミレスの椅子でとどめを刺されて50肩の病院に行くことにした
私は病院が嫌い
お医者さんは偉そうだし、看護師さんは怖いし
この歳でいまだにそんなこと思っている
だからすごく熱を出したりしても、さんざ唸って苦しんで
もうだめだって思ったころに病院に行くから
半分治ってたりする
でもこの肩は、いつものほっとく大作戦はきかなかった
50代、抵抗力が減ってく年頃か
最初の病院はダメだった
なんだろ、私の人見知りセンサーがこの暗くて広い整体の部屋と、
症状の説明を滑らかにする笑顔のリハビリの先生とは合わないなと
病院行くぞ、と思ったくせに1回行ってやめてしまった
(これだよ)
現実から目を逸らしても腕は一向によくならない
娘にも説得されて2件目の病院
こちらは小さいビルの三階
狭い中に人がずらりと待っていた
レントゲン撮って骨に異常はなくてリハビリの先生にお願いする
お医者さんとリハビリの先生は別
診察室、待合室の反対側にまったく同じ縦長でリハビリの部屋があった
順番に患部に電気当てて、温めて、リハビリの先生に整体してもらう
みんな慣れた感じで時間になると次の作業に移動していく
うまくその中に入れるかと少し気弱になったけど
慣れたら大丈夫と自分を励ました
はじめての私はまずはリハビリの先生の診察からだ
全体的にこの病院のリハビリの先生は若い
一人中年の先生がいるだけだった
そして私の担当は、若いどころか研修中の先生だった
なんと大学を卒業して入ったばかりの先生
もちろん50肩を治した経験はないとのことだった
藁にもすがる思いでやってきた病院で頼りになるはずの専門家が
研修中の先生でおいおい大丈夫か、と正直思った
病院に行き始めた頃はちょうどデイサービスに採用されたばかりだったから
せっかく掴んだ職場を50肩ごときに邪魔されてなるものかと
焦っていた時だった
「頼むよ先生」という気持ちで、実際、その研修生に無事に職場に通わせて
くれと頼んだ
その研修生はすごく真面目に私の気持ちを受け止めてくれた
心が弱っていて疑心暗鬼になっている私が二回目のリハビリにいったとき
私の名前を覚ていないことを指摘したら、次の回には先生から名前を呼んできた
そのまっすぐさにすっかりやられた
若いというのは素晴らしい
何事にもまっすぐだ
そんな風にリハビリの先生にやられた私は、すっかりおばさんだ(タハッ)
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