初めての施設への道は狭かった
結局、お姉さんが紹介してくれた施設は、夜勤込みの施設だった。
ひどく夜勤をやることに抵抗を抱いていた私は
これまたお姉さんの「自分でもネットとかで探さないとダメですよ」の
お言葉に強迫観念をいだき、慌てて、よくもわからん
介護医療の専門求人サイトで検索を始めた。
どうしても事務職の栄光が忘れられない私は
休日もできるだけ欲しかった。
以前の会社は、土日祝日み。
なるべくそこに近づきたかった。
(いつまでもほんとに、諦めの悪い私)
そして、またしても「運転なし。昼間のみ。年間休日125日。」という
条件だけで、ある施設の求人に申し込んだ。
前の会社であれほど『条件』の鎖に囚われていたのに・・・。
夜勤のあるお姉さんとの面接同行の約束までした施設を直前に反故にして
私はその(条件)で選んだ施設に就職を決めた。
内心では、「お姉さん、あるじゃん。求人。」の気持ちで。
その施設は、自分が住んでいる市内の山のほうにあった。
山だから、駅から坂道をのぼる。
地図で見た施設への近道は急な坂で、線路を越える橋を渡ると果樹園の間を通る。
最初は果樹園の裏道で狭いけど、じきに車両も通れる道になる。
人通りのないさみしい道だ。
私はその道を歩きだと20分ほどかけて、この施設に通うことになった。
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