夜勤は避けたい
授業が後半になると、講習とセットで申し込んだ就職の紹介手続きが始まる。
申し込んだ学校には、講習と就職紹介をセットにすれば受講料が安くなるというコースがあった。
何もわからない私にとって、就職紹介もしてくれて、面接にも付き添ってくれるというのは
ありがたかった。
紹介の手続きを始めようと声をかけてきたのは、20代半ばのお姉さんだった。
事前に、履歴の「なぜこの会社を選んだか」欄の練習を書くように言われていたのでそれを見せた。
彼女は、どんなマイナスの状況も良い印象に表現する自信があるといった。
そして、私の書いた『人の役に立ちたい』という文章はとても重要だともいった。
前職から逃げてきたのではなく、『人の役に立ちたい』と考えたから介護の世界に就職するのだ
と表現するのだ、と。
それを聞いて、打たれまくってすっかりペラペラになっている私は、「そういうもんか」と
至極納得した。
介護業界で数年間、企業に人材を就職させた彼女はいった。
「この年齢でまったくの初心者、車の運転ができないとなると、夜勤は避けられないかもしれませんね」
夜勤!!
私はそれを非常に恐れていた。
それでなくても平日昼間をこなすのに疲れ果ててる自分が、そんなサイクルに耐えられるとは思えない。
聞くと、車の運転ができれば昼間専用の介護があるそうだが
できないとなると、交代制の施設に行くしかないという。
以前、子供がまだ小さい頃、夜勤の弁当屋で働いたことがある。
その時、夜は立ち仕事だし眠気は起きないにしろ、帰ってきてから寝て起きて
家のことをして、出勤するということができなかった。
上手く睡眠時間を調節することができず、いつまでも眠く、1日ダラダラと寝続けてしまった。
それ以来、夜勤は自分には向いていないと思っている。
夜勤のある勤務体系に自信がないと伝えると、「夜勤専門という形態もありますよ」
と、しれっと彼女はいってのけた。
この年齢ですとね・・・まだ若い彼女には、この年齢で業界を変えて再就職をしなければならない
おばさんの気持ちなどわかりはしないだろうな、と心の中で思った。
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