毛皮とこん棒 2022.8.17

1ケ月の通学の講師は毎日変わる。

その日にしか会わない先生。会っても2回ぐらいの先生。

私とほどんど年齢の変わらない人や年下の先生が授業を進めていく。

聞くと何度かの転職を重ねながら介護のキャリアを積み資格を取り、現在も職に就いているか

もしくは専門に講師になったという人ばかりだった。

介護の世界は転職が普通のようだ。

定年までいるつもりでいた会社で上手くいかず飛び出して、

経験値ゼロで毛皮とこん棒しか持っていない自分と、

同年代でしっかりと立場を確立させた先生と、比べて情けなくなった。

(こん棒さえ、この授業で持たせてもらうのに)

 

そして、先生方には身近に介護の世界に入るきっかけとなる人がいる。

祖父母だったり両親だったり。

その経験がこの世界へ入るきっかけとなっている。

私にも障害者の弟がいる。

だけどまったく福祉の世界には興味がなかった。

自分には無理だろうと思っていたし、その世界に目を向ける気が起きなかった。

 

やはり年齢のせいだろうか。

ここのところ、お年寄りのお世話をするのがいやでなくなっている。

自分がよりあちら側に近づいているから親近感がわくのかもしれない。

 

いや、会社では使い物にならなくなった自分の身の置き場を探しているだけかもしれない。

自分でも役に立てる場所を、と思っているだけかもしれない。

そのときは、その世界に一度はいってみないといけないと考えていた。

自分がその世界でやっていけるかどうか。ダメもとで、一度はやってみないといけない。

妙に義務感というか強迫観念があった。

 

授業は眠気との闘いの座学から実習へと移っていく。

コロナ下だから通常よりも簡易な形で進んでいった。

思えばそういった事情も新しい世界にいくんだと力んでいた私にとっては

思っていたより気さくに授業が展開したから良かったかもしれない。

日常

Posted by ぷー子