恨みつらみ

とにかくおじいさんは、強烈だった

来るたびにレンジの食事をあの奥の白い部屋で食べて

私を面接した気取ったおばあさんとこそこそと打ち合わせをしていた

 

毎回何をそんなに打ち合わせているのかと思ったら

ある日、奥の部屋のテーブルに打ち合わせの資料が置いてあった

もうおじいさんだから、体もあまりいうこときかないこともあって

奥の応接室は物で溢れている

もちろん打ち合わせの資料だって自分では片づけられない

だから大事な資料だって出しっぱなしだ

資料の中身はおじいさんの遺言エピソードという感じだった

遺言書はもっと厳重に管理されているだろうから

いわばこれはおじいさんのこれまでの恨みつらみ

聞いていたところによると、これは亡くなった後、家族に読んで

もらいたい言葉らしい

 

あのおじいさんとおばあさんが二人で部屋にこもってもっともらしく

時間を費やしているのはこんなことかと

呆れてますますだめだこりゃ、と思ったよ

読んでみたら、自分の子供たちに

「自分は悪くない。悪いのはお前たちだから、、、」ってのをつらつら書いてあるだけの

文章だった

 

おじいさんには娘が3人いるらしい

3人も子供がいるのに誰も後継者がいない

というのも過去に色々あったらしく

今は、一銭も娘たちにはお金はやらんと文章にも書いてあった

 

で、今自分の側にいるのはこの面接官のおばあさんと

おじいさんに教育してもらったこのホームで施設長扱いの

おかっぱ頭の部下だけだ

 

コロナで利用者は激減し

おじいさんは日々恨み言の文章を作成している

ますます私はお先真っ暗な気持ちになった

日常

Posted by ぷー子